顧客へのメールを作るたびに、文章の書き出しや言い回しで迷っていませんか。
営業の仕事では、商談後のお礼、アポイントの依頼、資料の送付、進捗確認など、さまざまなメールを作成します。
伝える内容は決まっていても、失礼のない文章に整える作業には意外と時間がかかります。
私は営業を5年間経験し、現在は業務改善・DXに取り組んでいます。その経験から考えると、ChatGPTは営業メールを完全に任せる道具ではなく、下書きを短時間で作るための道具として使うのが効果的です。
この記事では、ChatGPTで営業メールを作る手順、そのまま使える基本プロンプト、入力例とメール例、仕事で利用するときの注意点を紹介します。
ChatGPTで営業メールを作るメリット
ChatGPTを使う主なメリットは、ゼロから文章を考える時間を減らせることです。
メールの構成をすぐ作れる
営業メールには、一般的に次の要素が含まれます。
● 件名
● 宛名
● あいさつ
● メールの目的
● 相手に伝えたい内容
● 次の対応
● 結びの言葉
ChatGPTに目的と必要な情報を渡せば、この順番に沿った下書きを作れます。
何から書くか迷う時間を減らし、内容の確認に時間を使えるようになります。
用件に合った表現へ整えられる
同じ内容でも、商談後のお礼と進捗確認では適切な表現が異なります。
ChatGPTには、次のような条件を指定できます。
● 丁寧で簡潔な文章
● 相手を急かさない表現
● 300文字以内
● 結論を先に伝える
● 件名を3案作る
文章の目的と相手を指定することで、用途に合った下書きを作りやすくなります。
修正案を複数出せる
作成された文章が堅すぎる場合は、「もう少し柔らかい表現にしてください」と指示できます。
長すぎる場合は、「要点を変えずに200文字以内へ短くしてください」と伝えます。
ゼロから書き直すのではなく、条件を追加しながら調整できる点も便利です。
ChatGPTが向いている営業メール
ChatGPTは、基本的な構成が決まっているメールの下書きに向いています。
例えば、次のような場面です。
● 商談後のお礼
● アポイントの依頼
● 資料送付の連絡
● 日程調整
● 問い合わせへの一次回答
● 進捗確認
● 社内関係者への情報共有
一方で、価格交渉、契約条件、クレーム対応、重要な謝罪など、表現一つで判断が変わるメールは注意が必要です。
AIが作った文章をそのまま送らず、上司や関係部署への確認も含めて慎重に対応してください。
ChatGPTで営業メールを作る3つの手順
1.メールに必要な事実を整理する
最初に、相手へ伝える事実を箇条書きで整理します。
最低限、次の内容を用意します。
● 誰に送るか
● 何のために送るか
● 相手に伝える内容
● 相手に依頼したいこと
● 自社が対応すること
● 日付や期限
きれいな文章にする必要はありません。
ChatGPTへ入力する前に、事実と自分の考えを分けておくことが重要です。
2.目的・出力形式・禁止事項を指定する
次に、整理した情報とプロンプトをChatGPTへ入力します。
「営業メールを作って」とだけ指示するのではなく、メールの目的、文章の長さ、希望する表現を指定します。
さらに、「入力にない内容は追加しない」と伝えることで、AIが勝手に約束や期限を補うリスクを減らせます。
3.元の情報と照合してから送信する
完成した文章は、元のメモと見比べます。
特に、次の情報を確認してください。
● 相手の会社名と名前
● 日付
● 金額
● 数量
● 納期
● 回答期限
● 自社が約束した対応
文章が読みやすくても、事実が正しいとは限りません。最終確認は必ず人が行います。
コピペして使える営業メール作成プロンプト
以下は、さまざまな営業メールへ応用できる基本プロンプトです。
必要な部分をコピーし、入力情報を書き換えて使ってください。
> あなたは法人営業のメール作成を支援するアシスタントです。
> 以下の入力情報をもとに、顧客へ送るメールの下書きを作成してください。
>
> 【作成ルール】
> ・入力情報にない事実、約束、期限は追加しないでください。
> ・情報が不足している箇所は推測せず、「要確認」と記載してください。
> ・相手への依頼と、当社が対応する内容を混同しないでください。
> ・法人営業に適した、丁寧で簡潔な表現にしてください。
> ・件名と本文を分けて出力してください。
> ・本文は300文字程度に収めてください。
>
> 【入力情報】
> メールの目的:
> 相手の会社名・名前:
> 伝える内容:
> 相手に依頼したいこと:
> 当社が対応すること:
> 日付・期限:
> 希望する文章の雰囲気:
> 自分の会社名・名前:
このプロンプトは、お礼メール、資料送付、日程調整などに応用できます。
「メールの目的」と「入力情報」を具体的にするほど、修正しやすい下書きになります。
アポイント依頼メールを作成する入力例
例えば、次の情報を入力します。
> メールの目的:新サービスの紹介に向けたオンライン面談の依頼
> 相手の会社名・名前:A社 営業部 田中様
> 伝える内容:営業報告書の作成時間を減らす新サービスを紹介したい。面談はオンラインで30分程度
> 相手に依頼したいこと:候補日時から都合のよい時間を選んでほしい
> 当社が対応すること:日時確定後にオンライン会議のURLを送る
> 日付・期限:候補日時は9月8日14時、9月10日10時、9月11日16時
> 希望する文章の雰囲気:丁寧で簡潔
> 自分の会社名・名前:B社 営業部 鈴木
ChatGPTが作る下書きの例は次のとおりです。
件名
新サービスご紹介のためのオンライン面談のお願い
本文
> A社
> 営業部 田中様
>
> いつもお世話になっております。B社営業部の鈴木です。
>
> このたび、営業報告書の作成時間を減らす新サービスをご紹介したく、ご連絡いたしました。オンラインで30分ほどお時間をいただければと存じます。
>
> 以下の候補日時のうち、ご都合のよい時間はございますでしょうか。
>
> ・9月8日 14時
> ・9月10日 10時
> ・9月11日 16時
>
> 日時が確定しましたら、オンライン会議のURLをお送りします。
>
> ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
短い入力情報からでも、面談の目的、所要時間、候補日時、次の対応が分かる形に整理できました。
ただし、この文章もそのまま送るのではなく、候補日時が現在も空いているか、相手との関係性に合った表現かを確認します。
用途別にプロンプトを調整する方法
基本プロンプトの「メールの目的」と「希望する文章の雰囲気」を変えることで、ほかの営業メールにも利用できます。
アポイントを依頼する場合
次の情報を追加します。
● 面談を依頼する理由
● 所要時間
● 面談方法
● 候補日時
● 相手に選んでほしい項目
一方的に日時を決めず、相手が回答しやすい候補を提示します。
資料を送付する場合
次の情報を追加します。
● 資料名
● 資料を送る目的
● 相手に確認してほしい箇所
● 添付ファイル名
● 次の連絡予定
ChatGPTは添付ファイルの有無を確認できないため、送信前に自分で確認してください。
進捗を確認する場合
次の情報を追加します。
● 以前の連絡日
● 確認したい内容
● 確認が必要な理由
● 希望する回答時期
● 相手を急かさない表現にする指示
「催促メールを作って」ではなく、背景と希望する温度感まで伝えると、強すぎる表現を避けやすくなります。
営業メールの精度を上げる追加指示
基本プロンプトへ、目的に合った指示を追加すると修正の手間を減らせます。
文章を短くしたいとき
> 要点を変えずに、本文を200文字以内へ短くしてください。
件名を比較したいとき
> メールの目的が一目で分かる件名を3案作成してください。あおる表現は使わないでください。
表現を柔らかくしたいとき
> 丁寧さを保ちながら、堅すぎない表現へ修正してください。
相手が回答しやすい形にしたいとき
> 相手が確認・回答する項目を、本文の後半に箇条書きで整理してください。
一度に多くの条件を追加するより、最初の下書きを確認してから必要な修正を指示する方が調整しやすくなります。
ChatGPTで営業メールを作るときの注意点
入力していない事実が追加されることがある
ChatGPTは、自然な文章に整える過程で、入力されていない背景や対応を補う場合があります。
例えば、実際には決まっていないのに、次のような文章が加わる可能性があります。
● 来週までに見積書を提出します
● 社内で承認済みです
● ご要望の仕様に対応できます
プロンプトに「入力情報にない事実、約束、期限は追加しない」と明記し、出力後も元のメモと照合してください。
顧客情報や機密情報を安易に入力しない
営業メールには、顧客名、担当者名、価格、契約条件、未公開情報などが含まれる場合があります。
会社で利用が認められているAIサービスと社内ルールを確認し、許可されていない情報は入力しないでください。
必要に応じて、「A社」「担当者B」「製品C」のように匿名化してから利用します。
AIが作った文章をそのまま送信しない
ChatGPTが作った文章は、あくまで下書きです。
送信前に、少なくとも次の項目を確認します。
1. 宛名と会社名
2. 件名とメールの目的
3. 日付、金額、数量、期限
4. 相手への依頼内容
5. 自社が対応する内容
6. 添付ファイル
7. 署名
特に、契約、金額、謝罪、クレームに関するメールは、関係者の確認を受けてから送信してください。
営業メール作成を効率化する運用方法
ChatGPTを一度使うだけでなく、日々の業務に組み込むと効率化しやすくなります。
おすすめの流れは次のとおりです。
1. 商談や電話の直後に事実を箇条書きで残す
2. 用途に合ったプロンプトへ貼り付ける
3. ChatGPTで下書きを作る
4. 元のメモと照合する
5. 自社の表現へ整えて送信する
重要なのは、人が事実を残し、AIが文章を整理し、人が最終確認することです。
営業報告書を作成する方法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶︎ 営業報告書をChatGPTで効率化する方法|そのまま使えるプロンプトと注意点
用途別のプロンプトをすぐ使いたい方へ
営業の仕事では、メール以外にも、商談議事録、営業報告書、提案準備などで文章を作成します。
毎回プロンプトを考えるのが面倒な方に向けて、営業業務で使えるプロンプト16個を有料noteにまとめました。
● 営業報告書
● 商談議事録
● 顧客向けメール
● 提案準備
必要なものをコピーし、自分の業務に合わせて調整できます。
▶︎ 営業職がすぐ使えるAIプロンプト集|議事録・報告書・メール作成テンプレート付き
価格は980円です。無料部分で記事の内容とプロンプトの使用例を確認できます。
まとめ
ChatGPTを使えば、営業メールをゼロから書く時間を減らし、下書きを効率よく作れます。
基本の流れは次のとおりです。
1. メールに必要な事実を整理する
2. 目的、出力形式、禁止事項を指定する
3. ChatGPTで下書きを作る
4. 元の情報と照合する
5. 人が修正して送信する
AIへ文章を丸投げするのではなく、事実の整理と最終確認を人が担当することが重要です。
まずは、機密情報を除いたメールの要点を、この記事の基本プロンプトへ入力して試してみてください。
